生成AIに文章作成を依頼すると一瞬で全文出力されます。ところがその文章を他人が読むと「AIが書いた感じがする」と指摘される。SNSに投稿するといつもより反応が鈍い。そうした経験をお持ちの方は少なくないと思います。逆に他人が作成した文章を読んで「これはどうもAIが作ったっぽいな」と思うことも増えてきたように感じます。
読み手が「AIが書いたのではないか?」と感じるのは、文章の内容が誤っているからではありません。文章の形にいくつか決まったAI特有のクセが出ているからです。この記事では、そのクセを5つに整理し、修正する手順をお伝えします。生成AIの下書きを人が修正し完成させる作業を数多くサポートしてきたなかで、実際に伝えてきた内容を書きます。
「AIっぽい」と感じられるときに起きていること
読み手は(当たり前ですが)あなたの文章を、AIが書いたかどうかを判定しようとして読んでいるわけではありません。読んでいる途中でなんらかの引っかかりを感じ、「これはAIが作った文章かもしれない」と感じるという流れです。
引っかかりを感じる原因は、だいたいこんな感じです→文が同じ調子で続く。書いてある内容に具体的なものが何も出てこない。妙に丁寧で、言い切りだけが強い。などなど。。
それらの箇所をチェックして修正することで、読み手が引っかかるポイントは消えていきます。以下のAIっぽさが出る5つのパターンと、その対応策です。
AIっぽさが出る5つのパターン
1. 言い切りが強すぎる、または大げさ
生成AIが作成した文章は、根拠の量や内容に対して妙に結論を強く書くことがあります。「必ず」「劇的に」「圧倒的に」など強い表現の形容詞が入っていたら、修正することを考えてください。
| 修正前 | 修正後 |
|---|---|
| 業務が劇的に効率化します | 資料を作る時間が短くなります |
| 必ず成果につながります | 成果につながる場合があります |
| 誰でも簡単に使えます | 操作は3つの手順で、特別な設定は必要ありません |
実務の文章では、根拠が薄くかつ強い表現は違和感を抱かせます。言い切るなら根拠を添え、根拠がないなら言い切らない、です。
2. 同じ形の文が続く
文末が「〜です。〜ます。〜です。」と一定のリズムで続くと、読み手は内容を理解するより単調さを感じることがあります。
問いかけの形も同じです。「〜ではないでしょうか。」が3段落続けば、読み手は違和感を持つかもしれません。「そんなときは〜」「これにより〜」で始まる段落が繰り返されるのも、生成AIの文章によく見られる形です。
| 修正前 | 修正後 |
|---|---|
| 資料作成に時間がかかっていませんか。会議の準備に追われていませんか。情報の整理に困っていませんか。 | 資料作成、会議の準備、情報の整理。このような作業に時間を取られている方も多いのではないでしょうか。 |
| 生成AIは便利です。操作も簡単です。導入もすぐにできます。 | 生成AIは操作が簡単で、導入にも時間がかかりません。 |
対処は単純で、同じ形が2回続いたら、3回目は形を変えるです。体言止めを1つ挟む、文を2つに割る、順番を入れ替える、など。ちなみに、声に出して読むとどこが単調になっているかが分かりやすいです。
3. 固有名詞・数字・日付がない
一般論だけで構成された文章は、内容が正しくても説得力がありません。読み手にインパクトを与えることなく「どこかで読んだ話」で終わります。
| 修正前 | 修正後 |
|---|---|
| 多くの企業で生成AIの導入が進んでいます | 総務省の調査では、日本の生成AI利用率は58.8%でした |
| 短時間で資料が作成できます | 依頼から完成まで4分16秒でした |
| さまざまなツールが提供されています | ChatGPT・Gemini・Copilotの3つを比較しました |
固有名詞・数字・日付などの特有の要素が入っていれば、文章は具体的になります。
4. 飾り言葉が多い
不要な修飾語が使われていたり、同じ内容が重複している表現があったりします。
| 修正前 | 修正後 |
|---|---|
| 最初の1回は、今回のような形で | 最初は今回のような形で |
| まずはじめに、最初に確認しておきたいのは | まず確認したいのは |
| しっかりと正確に把握することが重要です | 正確に把握します |
削っても意味が変わらない語は、そのまま削れます。1文につき2語ほど削るつもりで読み直すと、文章が締まります。
5. 書き手の立ち位置が不明、AIを擬人化している
主語が抜けている文、誰の判断なのかが書かれていない文です。あわせてAIを人のように扱う表現も違和感のもとになります。
| 修正前 | 修正後 |
|---|---|
| 出典まで付けて返してきた資料 | 出典付きで出力された資料 |
| AIが考えてくれた案 | AIが出力した案 |
| 原因は大きく3つに分かれます | 考えられる原因は次のとおりです |
| 通貨が混在しています | 通貨単位が混在しています |
前後の文章が無いのでわかりにくいですが、3つめの「原因は大きく3つに分かれます」は、断定できないことを断定していた例です。4つめの「通貨が混在しています」は言葉が不足しているために意味が広くなりすぎた例で、「通貨が混在」ではドルと円が両方使われているのか、硬貨や紙幣など通貨の種類が混在しているのかが分かりません。足りない言葉を補うことで、意味が定まるケースもあります。
AIっぽさを消すための編集手順
手順1:いちばん伝えたい内容を1行で書く
読み直す前に、この文章で伝えたいことを1行でメモします。編集が終わったあと、その1行の内容が明確に伝わるように構成されているかを確かめます。生成AIが出力する下書きは網羅的になりやすく、読み終えても何が言いたいのか分からない状態になることがあります。伝えたいことを明確にしておくと、削る部分の判断もしやすくなります。
手順2:固有名詞・数字・日付を入れる
パターン3の作業です。一般論で書かれている箇所に、実際のツール名、実際にかかった時間、調べた日付などを入れていきます。AIは詳細な情報を与えなければあなたの周辺の具体的な事実を知りません。ここはあなた自身が書き加えるしかありません。
手順3:文末の表現を散らす
パターン2の作業です。段落ごとに文末だけをチェックし、同じ形が3つ以上続いていたら1つ変えます。声に出して読むと単調な箇所を発見しやすくなります。
手順4:飾りの言葉を削る
パターン4の作業です。「しっかり」「まずはじめに」「非常に」といった語を検索して、削除しても意味が変わらないものを削除します。該当する文章を1割ほど短くするのが目安です。
手順5:自分の言葉に置き換える
最後に、普段自分や所属している組織が使わないような表現を修正します。社内で「稼働させる」と言っているなら「稼働させる」に、「動かす」と言っているなら「動かす」へ。決定率のことを「歩留まり」と言うなら「歩留まり」に。普段使う言葉に統一されたとき、文章はより自然なものになります。
修正しすぎないための線引き
一方で、手を入れすぎるのも問題です。全文を書き直すと生成AIを使って効率化する意味がなくなります。また、修正しすぎて表現やつながりが不自然になることもあります。
線引きの目安は、事実と数字は必ず確認する、表現は引っかかった箇所だけ直すという2点です。人による編集は文章を美しくする作業ではなく、読み手が不自然に感じる箇所を取り除く作業だと考えてください。
SNS投稿で特に気をつけること
SNSに投稿するような短い文章では、上記のパターン1と2がより目立ちます。ブログ記事なら数段落に分散するAI特有のクセが、100字ほどの投稿では1文に凝縮されるためです。
- 1投稿に強い言葉を2つ以上入れない…「話題の」「必見」「圧倒的」が並ぶと、宣伝色だけが残ります
- 問いかけで始めない…「〜でお困りではありませんか?」は、生成AIの下書きでもっともよく出る書き出しです
- 絵文字とハッシュタグは後から人が付ける…AIが選んだ絵文字は、文意とずれることがあります
- 改行の位置は自分で決める…媒体ごとに読みやすい改行のスタイルは違います
- 社名や商品名の表記を確かめる…下書きの段階で表記が揺れていることがあり、投稿後の修正は手間がかかります
SNSの運用で生成AIをどこまで使うかの全体像は、SNS運用×生成AI 完全ガイドで整理しています。
なお、部下や後輩が作った文章をレビューする立場の方は、管理職の生成AI活用 完全ガイドもあわせてご覧ください。指摘する内容の伝え方まで含めて解説しています。
「AIっぽさ」は、文章の内容そのものではなく細かい表現に現れるケースが多いです。強すぎる言い切り、同じ形の繰り返し、具体的な内容がない、修飾語の多さ、書き手の判断が見えないこと。この5つを順に修正するだけで、読み手の違和感を抑えることができます。
まずは手をつけやすい手順2の「固有名詞・数字・日付を入れる」から試してみてはどうでしょう。1か所、具体例を差し込むだけでもAI特有の不自然さを抑制できます。
社内で生成AIを使った文章作成を推進したい場合は「生成AI研修の内容とは:実際のカリキュラム例と設計のポイント」をご覧ください。ご相談を承っています。
