生成AI研修を検討していていちばん知りたいのは「実際にどんなことをやってくれるのか」ではないでしょうか。研修会社の案内には「基礎から実践まで」と書かれていても、当日どんな時間の使い方をし受講者が何を身につけるのかは、なかなかイメージできません。帝国データバンクの調査でも、企業の生成AI活用の課題の2位は「専門人材・ノウハウの不足」(41.3%)でした(詳しくは「企業の生成AI導入率まとめ」をご覧ください)。AIの活用方法を体系的に学ぶ機会を求めていることが多くの企業の課題になっていることがわかります。
この記事では、当社が企業・団体で実施してきた生成AI研修の実際の構成をもとに、研修で扱う内容の全体像と3つのカリキュラム例(単発研修・1日研修・連続講座型)、対象者による内容の違いなどを紹介します。社内で研修を企画・検討している方が「自社ならどの形が合うのか」を考える材料としてお使いください。
生成AI研修で扱う4つの要素
対象となる職種や役職にもよりますが、生成AI研修で扱う内容は次の4つの要素に整理できます。
| 要素 | 内容 | ねらい |
|---|---|---|
| ①基礎理解 | 生成AIで何ができるか、注意すべき特性 | 過度な期待と過度な不安の両方をなくす |
| ②操作演習 | 実際にAIに指示を出して結果を確認する | 「触ったことがある」状態を全員に作る |
| ③業務への当てはめ | 自分の業務のどこで使えるかを見つける演習 | 研修翌日から使える状態にする |
| ④ルールとリスク | 入力してよい情報、出力の確認の習慣 | 安心して使える土台を作る |
研修の形式(時間・回数)によって、この4要素の配分を変えて組み立てます。以下、実際のカリキュラム例です。
カリキュラム例①:単発研修(2〜3時間)
まず全体像をつかみたい、全社員に一度は体験させたい、という場合に選ばれることが多い形式です。2時間の場合の構成例です。
| 時間 | 内容 |
|---|---|
| 0:00〜0:20 | 生成AIの基礎:何ができるか・注意すべき特性・最新動向 |
| 0:20〜1:00 | 基本操作の演習:実際にAIへ指示を出し、指示の仕方で結果が変わることを体験 |
| 1:00〜1:40 | 業務を題材にした演習:メール文面・文書の要約など、すぐ使える場面で練習 |
| 1:40〜1:55 | 入力してよい情報・出力の確認など、業務で使うときのルール |
| 1:55〜2:00 | 質疑応答・自社での次の一歩 |
座学の時間はできるだけ短くし、受講者が手を動かす時間を中心に組み立てます。
カリキュラム例②:1日研修
操作の習得だけでなく「自分の業務のどこで使うか」まで落とし込みたい場合の形式です。
- 午前:生成AIの基礎+基本操作の演習(4つの要素のうち①基礎理解と②操作演習を、単発研修より時間をかけて丁寧に)
- 午後:自分の業務を題材にした演習が中心。実際の業務資料やサンプル資料を使ってAIを使い、うまくいったプロンプトをグループで共有。最後に「明日から自分の業務でどう使うか」を各自が確認して終わる
午後の演習に自社の(あるいはそれに類似した)実際の業務・資料を使うことが、この形式の効果を大きく左右します(後述の設計ポイントでも触れます)。
カリキュラム例③:2時間×5〜6回の連続講座型
1回で終わらせず、2時間程度の研修を隔週などで5〜6回続ける形式です。当社でも企業でこの形式の研修を実施しています。
| 回 | テーマ例 |
|---|---|
| 第1回 | 生成AIの基礎と基本操作 |
| 第2回 | 文書作成・要約・メール |
| 第3回 | 資料作成・データの整理 |
| 第4回 | 各自の業務を題材にした演習 |
| 第5回 | 活用事例の共有・社内ルール |
| 第6回 | まとめ:各自の業務での活用発表 |
この形式の利点は、回と回の間に実務で検証するサイクルが入ることです。研修の場で覚えたことを実務で試してうまくいかなかった点を次回に質問できるため、1回完結型に比べて定着しやすくなります。
使い分けの目安は、まず全体像をつかむなら単発研修や1日研修、組織に定着させるところまで狙うなら連続講座型です。
対象者によって内容はどう変わるか
階層別:実務者向けと管理職向け
実務者向けは、手を動かす演習を中心に組み立てます。一方、管理職向けでは自身が活用する視点に加えて、部下の成果物をどう確認するか・チームにどう使わせるか・ルールをどう作るかという視点が加わります(管理職向けの内容のイメージは「管理職の生成AI活用 完全ガイド」が近いです)。管理職向けの外部講座では、東洋経済新報社さまの「管理職のための生成AIマスター講座」に登壇しています。
職種別のカリキュラムも実施できます
職種を絞って、その職種の実務だけを題材にする構成も可能です。実施例のイメージです。
- 経理・会計向け:領収書の読み取り、Excelデータのチェック・集計、取引先へのメール作成 など
- 営業向け:営業メール、提案書のたたき台、商談準備の情報整理 など(内容のイメージ:「営業職のChatGPT活用 完全ガイド」)
- SNS・広報担当向け:投稿文の作成、投稿ネタ出し、運用レポート、公開前のリスクチェック など(内容のイメージ:「SNS運用×生成AI 完全ガイド」)
職種別の利点は、演習の題材が自分の業務そのものになることです。「便利そうだけど自分の仕事とどう関係するのか分からない」という距離感がなくなり、受講した翌日からそのまま使えます。
効果が出る研修に共通する3つの設計ポイント
形式を問わず、効果の出る研修には共通点があります。
- 自社の実際の業務・資料を演習の題材にする:サンプル文書での練習より、自社の実物を使った演習のほうが「使える」実感につながります
- 演習の時間を長くとる:生成AIは講義を聞いて理解するものではなく、触って身につけるものです
- 利用ルールの整備とセットで行う:何を入力してよいかが曖昧なままだと、研修後に誰も使わなくなります。ルールがまだない場合は研修と同時に整備するのがおすすめです(「生成AIの社内ルールのたたき台を1時間で作る手順」)
研修の検討と並行して、自社のどの業務から生成AIを使い始めるかを決める手順は、中小企業のAI自動化はどこから始める?生成AIに任せる最初の1業務の選び方と進め方で解説しています。
研修の現場でよくある質問
実際の研修で受講者の方からよくいただく質問には、次のようなものがあります。
- 「社内の資料を入力して大丈夫なのか」:最も多い質問です。会社のルールで入力してよい情報の範囲を決めること、迷ったら入力しないことをお伝えしています。問題がある時にはこちらでサンプル文書を準備します。
- 「AIが出力する内容はどこまで信用してよいのか」:出力された内容をそのまま信用せず、人が確認する前提で使うこと。確認の手間を差し引いても時短になる使い方から始めることをお伝えしています
- 「結局、何から始めればよいのか」:自分の業務でもっとも時間を取られている文章仕事を1つ選んで、そこから試すことをおすすめしています
よくある質問
Q. オンラインでも実施できますか?
A. 実施できます。会場での対面、オンライン、その併用のいずれにも対応しています。
Q. 地方の会場でも来てもらえますか?
A. 全国どちらへでも伺います。交通費・宿泊費などの実費は別途お願いしています。
Q. パソコンが苦手な社員が多くても大丈夫ですか?
A. 大丈夫です。研修は初めて生成AIに触れる方を前提に設計しており、操作は画面を映しながら一緒に進めます。
Q. 受講後に社内に定着させるには何が必要ですか?
A. 研修で作った指示文(プロンプト)を社内で共有すること、利用ルールを整備して安心して使える状態にすること、そして可能であれば連続講座型で実務で試すサイクルを回すことが有効です。
生成AI研修は、単発研修・1日研修・連続講座型といった形式の選択と、全社向け・階層別・職種別といった対象者の絞り方の組み合わせで、自社の課題に合わせて設計できます。株式会社ウェブタイガーでは、これまで約60の企業・団体で生成AI研修を実施してきました。カリキュラムのご相談は研修・セミナーのページをご覧のうえ、お問い合わせからお気軽にどうぞ。
