「ChatGPTが営業の仕事に使えるらしい」と聞いて触ってはみたものの、日々の業務のどこで使えばいいのかが見えず、結局全然つかっていない。企業研修で営業職の方と話していると、そうした状態の方が少なくありません。実際、研修で受ける質問も「出力された内容をそのまま使ってもいいのか」「どこまで商談の準備に使うべきかがイメージできない」など、使い始めた直後の使い方に関するものが中心です。
その背景には、「営業は人間がやるもの・手間をかけてこそ」という認識や慣習が根強くあり、なかなか活用が浸透しないという事情もあります。
この記事は、営業の仕事のどの場面でChatGPTが使えるのかの全体像です。場面ごとの具体的な手順は、それぞれ詳しい記事を用意しているので、自分の業務に近いところから読んでください。
なお、当社が紹介するのは、自社の商品やサービスに興味を持ってくれた相手とのやりとりや、その準備にChatGPTを使う方法です。問い合わせフォーム営業や無差別なDMなど、いわゆるコールド営業の効率化はおすすめしていません。
営業プロセス別の活用マップ
営業の流れに沿って、ChatGPTの使いどころを整理すると次のようになります。
| 営業プロセス | ChatGPTの使いどころ | 時間の目安 |
|---|---|---|
| 見込み顧客への対応 | 資料請求へのお礼メール・打ち合わせ提案の下書き | 1通数分 |
| 商談準備 | 相手企業のリサーチ、想定課題と質問リストの作成 | 15〜30分 |
| 商談・成約 | 提案書のたたき台(構成と本文)の作成 | 30分 |
| 契約後フォロー | お礼・資料送付・次回調整のメール下書き | 1通数分 |
共通するのは、「考える・書く」の最初の一歩をChatGPTに任せ、判断と仕上げは人間がやるという分担です。
シーン別の手順ダイジェスト
商談準備(企業リサーチ)を15〜30分に短縮する
商談相手の企業の下調べ→想定課題の整理→質問リストの作成、という商談準備の一連の作業はChatGPTの検索機能を使うと15〜30分程度まで短縮できます。研修で企業リサーチの演習を行うと、受講者が一番驚くのは調査がこれまでよりも飛躍的に簡単かつ短時間になることです。
▶ 詳しい手順:商談準備(企業リサーチ)をChatGPTで時短する手順
営業メールを数分で書く
資料請求へのお礼や商談後のフォローなど、興味を持ってくれた相手への返信メールは、「相手・目的・条件」を整理して渡せば数分で下書きができます。仕上げの3点(固有名詞・事実確認・AIらしさを消す)だけ人間が行います。
▶ 詳しい手順:営業メールをChatGPTで書く手順|そのまま使えるプロンプトと修正のコツ
提案書のたたき台を30分で作る
商談でヒアリングしたメモを渡して、構成10分→肉付け15分→調整5分の合計30分でたたき台を作ります。出力が一般論ではなく「提案先企業のための提案」になるのがポイントです。
▶ 詳しい手順:提案書のたたき台をChatGPTで30分で作る手順
営業でChatGPTを使うときの注意点
どの場面でも共通する注意点は3つです。
- 顧客の情報を入力しない:相手の社名・担当者名などの個人情報や、商談で預かった機密情報はプロンプトに入れません。公開情報と「◯◯株式会社」のような置き換えで十分に機能します
- 社外に出るものは必ず裏を取る:ChatGPTの出力には、もっともらしい誤り(ハルシネーション)が混入することがあります。相手に伝える情報・数字は、出典や自社の実物で必ず確認します
- 「数を打つ」ためには使わない:ChatGPTで効率化してよいのは、関係のある相手への丁寧な対応を迅速かつ効果的にすることです。無差別な営業メールやDMの量産は、会社の信頼を損ないます。SNSで繋がった直後に営業DMを送ることは論外です
よくある質問
研修で営業職の方から実際によく受ける質問をまとめました。
Q. 出力された内容をそのまま使ってもいいのですか?
A. その商談・そのメールで重要になる要素を中心に、必ず事実関係を確認してから使ってください。すべてを検証する必要はありませんが、相手に伝える重要ポイントの事実と数字の確認は省けません。
Q. AIで書いた文章は「AIっぽさ」が出ませんか?
A. 出ます。出ると思って対応してください。なので送信前の仕上げは人間の仕事です。固有名詞の差し込み・事実確認・自分の文体への修正の3点をチェックすれば、実用レベルになります。
Q. 商談準備はどこまで詳細にやるべきですか?
A. 目安は「ChatGPTで下調べと質問リスト作成10分+重要な要素の裏取り5分」の15分です。完璧な準備よりも、商談で確かめるべき課題を前回の商談内容などから判断して準備してください。
Q. 会社として社員に使わせるのが不安です。何から整備すべきですか?
A. まず「顧客情報・機密情報を入力しない」というルールを明文化することです。そのうえで、この記事で紹介したような業務別の使い方を研修などを通して共通認識として定着させます。
営業の仕事におけるChatGPTの使いどころを、プロセス別に紹介しました。最初の一歩は、自分の業務で一番時間を取られている場面から試すことです。メール・商談準備・提案書のどれか1つで「下書きはAIに任せる」感覚をつかむと、他の場面にも自然に広がっていきます。
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